広島ドラゴンフライズファンチャンネル
現役時代、希代の名ポイントガードとして活躍した佐古HCだけに、
ポイントガードについては自分で
育成したいと強い拘りを持って
チーム作りを行った。
「ミスターバスケット」が広島でやろうとしていること
InsideNBLから引用
2014.10.16
|新しいチームのヘッドコーチとして
佐古ヘッドコーチ(HC)、と呼ばれるのに少しずつ慣れてきましたか?
いや~、すごく違和感ありますね(苦笑) HCの仕事自体は思っていた通り、大変さと楽しさが
ありますが、新しいチームということで、その両面がより強く感じられます。
どのようなことが大変ですか?
選手に対しての目配りです。選手当時、自分がするべきことに集中すればよかったのとは違い今は、コートを離れてからの選手の様子も感じていなくてはならない…。特に私のチーム
(広島ドラゴンフライズ)は5人のルーキーをはじめ若い選手が多いので、バスケットを指導するだけでなくプロ選手として、また人間として成長させなくてはならないと思っています。
どのような楽しさがヘッドコーチにはありますか?
やはり自分がイメージする戦術や試合に向けての準備を、自分主導でできること。選手当時は
スタッフから提示されるスケジュールに合わせて自分が動いていました。一転して今は、
『自由な時間って作れないものだな』とか考えながらスケジュールを組んでいます。それに合わせて選手が動くのを見て、HCになったという実感が湧きますね。
どのようなチーム作りの構想を現時点では持っていますか?
タレントが豊富な能力の高いチームに対して、簡単に得点を重ねることはできません。したがって
ディフェンスからしつこくプレーし、失点を最小限にとどめる。ゲーム展開を読んで休んだりせず、
劣勢になってもあきらめることなく、粘り強くディフェンスし続けるというのが、私のバスケット観の
一つです。
「勝ち」にこだわるのですね。
若い選手たちに対して「いいリズムでオフェンスしなさい」とか「シュートを必ず決めなさい」という
ようなアドバイスでは、試合で力を発揮しにくいものです。オフェンスのことを考えさせるより先に、
単純に体を動かしながら試合に入っていかせたい。そのほうが経験の少ない選手たちも実行し
やすいはずだからです。いずれにしても緊張はします。私自身、緊張しなかった試合など現役時代にありません。ただその緊張感をいい方向へと持っていく上でもディフェンスが欠かせないのです。
そうして成長していきながら経験を積み重ねることによって、攻防両面での対応力が備わっていくと思っています。
DRAGONFLIES COLUMN
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|今、広島がおもしろいことになっている!
昨シーズンのウェスタン・カンファレンスは2強の状況でした。そこに風穴を開けられる
手ごたえはつかめていますか?
最終的にどこまで上り詰められるか想像がつきませんが、個々ののびしろだけでなく、チームとして飛躍的に強くなっていく可能性を感じています。試合を重ねていく中で発生する変化を、良いことも悪いこともすべてキャッチし、ステップアップにつなげられようなチームになれば、優勝だって狙えると思っています…。ただあまり先のことばかり考えるとプレッシャーになるので、一戦一戦変化していく、というスタンスで戦い、どのようにゲームを進めれば優位に立てるのか、ゲームの“あや”はどこにあるのか、に集中して戦いたいですね。
目の前の試合、目の前のワンプレーを大事にしようという気持ちが伝わってきます。広島での
盛り上がりや、期待の大きさは感じますか?
広島県としてみんなでまとまる意識が強い、とすごく感じます。プロ野球の広島東洋カープやJリーグのサンフレッツチェ広島といったプロチームが注目を集めるのは、そのような県民性に理由を
見つけることができます。実際に私たちも、プロスポーツ選手として温かく接してもらっています。
県民のみなさんに恩返しできるように、精一杯プレーする姿をお見せしたいですし、子どもたちに夢を与えられるようなチームでありたいと思っています。
広島にバスケットチームが誕生し、そこに佐古ヘッドコーチが就任したのに加え、日本代表の
センター・竹内公輔選手を獲得したのはセンセーショナルな出来事でした。
リーグ開幕直前まで、日本代表の竹内はチーム練習から離れていただけに、彼なしのチーム作りを
進めながら準備してきたというのが実情です。でも経験豊富な竹内であればすぐにアジャストできるはずですし、自分がまわりからどういう役割を求められているかすぐに感じ、プレーで表現できる
はず。何より“竹内公輔”という存在が、まわりに安心感を与えているのは間違いありません。
選手時代に信頼関係を構築できたことが、広島での再会につながったんですか?
どうなんですかね、本人に聞いてみないとわかりません(笑) でも昨シーズン終了後、竹内が
移籍するかもしれないという話を耳にして驚きましたが、本人に「広島はチャレンジするのにいい
チーム。ちょっと考えておいて…」とは言いました。しばらくすると「広島を真剣に考えているんです
けど…」と返って来て、彼に対して誠意を持って受け入れる準備をしましたよ!
とても、うれしそうですね。
広島への移籍が決まった時には、『おまえいいヤツだな。一肌脱いでくれたな』という思いでした。
正直、選手時代に一緒にプレーしてよかったと、改めて感じました。
|佐古賢一としての挑戦
その一方で、自身が選手時代に務めてきたポイントガードの役割を誰に託すかは、迷った
ところもあったのではないですか?
すごく迷いました。まわりからは「最高のポイントガードを連れてきたほうがいい」と言われましたが、私には別の思いがありました。HCの挑戦として、『ポイントガードを育ててみたい』と…。無責任に
考えてはいません。完成されたポイントガードを連れてきて自分が楽をするより、ポイントガードを
成長させることが自分にとっての挑戦にもなる。センターやシューターを育てることはできませんが、ポイントガードに対しては僕の経験を伝えられるというイメージができたんです。
東芝ブレイブサンダース神奈川から移籍した平尾充庸をはじめとする若手ガード陣には、
何を要求していますか?
試合におけるいろいろな局面で、ポイントガードがリーダーシップをとれるチームが格好いいし、
そうあるべきです。なぜなら試合状況をダイレクトに感じやすい分、チームがするべきプレーを的確に選択できるからです。いきなりすべてを求めるわけにはいきませんが、「責任を持ってプレーしなさい」とは言っています。「なぜそのプレーをチョイス(選択)したの?」と聞かれた時に、チームメイトにわかるように説明する。それがポイントガードとしての責任のひとつで、『プレーに意味を持たせる』
という言葉に置き換えることができます。
そうした広島での取り組みを日本の強化につなげていきたい、という思いもありますか?
私が今、第一に考えているのは『広島の選手をどう成長させていくか』です。でもそれが『日本の
バスケットをどう成長させていくか』にもつながる感じがしています。私は以前、世界へと目を広げるあまり課題が山積で、何から手をつけていいかわからないと戸惑ったことがあります。私一人で
できることは限られていますが、日本の強化につながるようなことが広島から発信できると
思っています。
そのあたりの貪欲さは、選手当時と変わっていませんね!
現役を引退した後、日本代表のスタッフとして活動している時に、『現場って、刺激的だな』って、
自分を『たぎらせるもの』を感じました。選手生活が終わったという達成感に浸るより、挑戦し続けたほうが自分らしいな、と。だから広島のHCとして新たに、挑戦しようと思ったんです。
佐古HCの采配と、広島ドラゴンフライズの飛躍、注目させてもらいます!
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